「有価証券報告書の虚偽記載」についての疑問
日産自動車のカルロス・ゴーン会長とグレッグ・ケリー代表取締役が逮捕された容疑事実が「ゴーン会長に対する報酬額を実際の額よりも少なく有価証券報告書に記載した金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で、2015年3月期までの5年間で、実際にはゴーン会長の報酬が計約99億9800万円だったのに、有価証券報告書には合計約49億8700万円だったとの虚偽の記載をして提出した」ということに関して、当初から疑問があった。
Mike Mozart/flickr:編集部
大企業であれば、有価証券報告書は、総務などの担当部門で情報を集約して作成・提出する。その有価証券報告書での役員報酬が過少に記載されていたのであれば、会社の組織の問題だ。それが、なぜ、会長と代表取締役だけの「虚偽記載の犯罪」となるのか。
その後の報道で、ゴーン氏への役員報酬として問題にされたのが、海外での自宅の提供、家賃の負担という話が出てきた。そうだとすれば、日産社内での通常の有価証券報告書の作成のラインでは把握していなかった事実があり、それが役員報酬に該当するにもかかわらず有価証券報告書の役員報酬額に含めずに提出することをゴーン氏が指示あるいは認識していたという場合には、ゴーン氏自身が虚偽記載の刑事責任を問われる可能性があると一応言える。
役員報酬を過少に記載した有価証券報告書
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