本稿の目的は、北海道で再び大規模な停電が起きないように、北海道胆振東部地震の経験から学ぶべき教訓を考えることにある。他方現在北海道の大停電については電力広域的運営推進機関(以下「広域機関」)において検証委員会が開催され、大停電の発生原因の分析、停電後の供給力確保に至るプロセス、再発防止策、などが議論されているところである。従ってこれらの論点については、ここで中途半端な推測を披露するよりは、委員会での議論の結果が出るのを待つのが正しい態度であるように思える。そこで本稿ではより前に遡って、胆振東部地震以前に北海道エリアにおいては、どのような電源脱落対策がなされていたのか整理した上で、「今後の発電所の運用方針はどうあるべきか」ということについて簡単に考えてみたい。
本題に入ろう。今回の大地震のように、何らかの突発事象により大規模な電源脱落が起きた場合、大規模な停電を避けるためには、当然のことながら短時間で需給を再び一致させる必要がある。そのため、各送配電系統は電源脱落の影響をカバーしうる供給力の余剰資源を常時確保しておかなければならないことになる。こうした余剰資源は「予備力」「調整力」「マージン」といった形で指標化・具現化され、各エリアの送配電事業者はあらかじめ緊急時に備えてその確保に務めている。専門語が先行したが、それぞれの言葉の定義については、2015年度に開催された「調整力等に関す
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