正直言ってもう記事として扱うことはないと思ったが、隣の編集長からの強い依頼があったので改めてスティーブ・ジョブズ氏没後のアップルについて個人的な感想を書きたいと思う。
日本時間の2011年10月4日の午後だったと記憶しているが、現地時間の10月5日にアップルのCEOであったスティーブ・ジョブズ氏の死去が発表された。訃報を聞いたとき私は千葉の幕張メッセでCEATECのブースイベントに出演していた。まったくの赤の他人だが、それほどの驚きはなく覚悟はできていた。部位は違えど実父が同じ病気で10年前に死去していたので、ジョブズ氏が罹患した事実とその部位を発表したときには、経営の第一線で活躍できる期間はそう長くないなと感じていたからだ。亡くなる前の2011年6月に開催されたWWDCでは、iCloudをはじめとするクラウドの重要性を熱く語ったジョブズ氏だったが、結局それが最後のスピーチとなってしまった。死亡証明書の職業欄には「起業家」と書かれていたそうだ。
当時編集長を務めていたアップル系専門誌のMacPeopleでは、2011年8月29日発売号で「Steve Jobs Keynote History」という小冊子を特別付録として制作した。これは、アスキー(KADOKAWA)のアップル系専門誌やウェブメディアが過去に取材したジョブズ氏の基調講演記事を時系列にまとめたもの。意図せず追悼号になって
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