書評「告白」:清原和博の心の闇
清原和博 告白 [単行本]
清原 和博
文藝春秋
2018-07-27
まあ今では割と有名な話ではあるが、有名人とかスポーツ選手の著作というのは9割は本職のライターが書いているのは公然の秘密だ。勝〇さんなんて「2時間喋れば本が一冊出来上がる」と言われるほど大変生産性の高い方として有名である。
けれども彼らライターの名前はクレジットされることはなく、あくまで喋った本人の名義で出版されることになる。
最初に手に取った時、筆者はてっきり本書もそういうスタイルだとばかり考えていた。ところがしょっぱなからこれである。
序 「告白」の始まり
目の前にいたのは、私たちの知っている清原和博ではなかった。変わり果てた、英雄の“抜け殻”だった。その衝撃はインタビューが進むにつれて、イメージとの落差を浮き彫りにし、さらに深く我々を打ちのめした。
(中略)
かつての英雄を別人に堕としたのは覚せい剤だ。アンフェタミン系の精神刺激薬。白い粉末や結晶という形のある、目に見える、現実に存在する物質だ。
だが、それに手を伸ばした心の病巣には実体がない。清原氏の胸のうち深くに潜んでいるものが何か、いつ芽生え、いつから蠢き出したのか、本人すらわかっていない。
それを探す。沈黙の車内で、3人がほとんど同じことを考えていた。それが、1年にわたる「告白」の始まりだった。
2018年 春 鈴木忠平
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