8月28日の閣議で、小野寺五典防衛大臣は2018年版「防衛白書」を報告した。北朝鮮をめぐる現状を、「これまでにない重大かつ差し迫った脅威」だと強調している。新聞各紙は、前年の「防衛白書」より表現を強めていることを一斉に報じたのだが、僕は、この報道に対して、強い違和感を持った。
Wikipediaより:編集部
昨年、トランプ大統領は、北朝鮮の金正恩書記長を徹底的に敵視した。もしかしたら、アメリカが武力行使するのではないか、という恐れさえあった。
アメリカが北朝鮮に対して武力行使すれば、北朝鮮は報復として日本や韓国を攻撃してくるかもしれない。そういう危機感が、日本中に充満していたのだ。だから安倍晋三首相は、「安保法制の意義を問い直す」といって衆議院を解散し、総選挙をした。
しかし今年6月、シンガポールでトランプ大統領と金正恩書記長との会談が実現した。アメリカと北朝鮮の首脳が会談するのは、史上初のことだ。この会談で北朝鮮は、期限は設けないものの、「核廃棄」を約束した。対してアメリカは、北朝鮮の体制を守るとした。
北朝鮮を巡る事態は、大きく変わったのだ。日本政府も、弾道ミサイル飛来の危機は去ったとして、住民の避難訓練を中止した。
その後も、金正恩書記長が、ポンペオ国務長官との会談を拒否するなど、問題は続いているが、トランプ大統領は金正恩書記長をまったく批判せず、2度目の会談の可能性まで示唆
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