書評「町工場の全社員が残業ゼロで年収600万円以上もらえる理由」
町工場の全社員が残業ゼロで年収600万円以上もらえる理由 [単行本]
吉原 博
ポプラ社
2017-12-05
「小さな町工場なのに残業ゼロ、全社員年収600万円以上」という点がNHKのクローズアップ現代等で取り上げられ話題となった吉原精工の会長が、自社の取り組みを詳細に解説したのが本書だ。営業マンを置かない営業テクニックや取引先との信頼関係構築テクニックなども実にこまごましていて興味深い。営業マンや経営者向けとしても良いビジネス書だと思う。
でも、やはり本丸は吉原流働き方改革、とりわけいかにして残業ゼロを実現できたか、だろう。
実は方法については分かっている。というか、それ一つしかない。それは残業そのものを無くし、浮いた残業代を基本給に上乗せして支給する方法だ。
よく現場を知らない労働弁護士なんかが口にする「残業割増し分を引き上げさせることで残業を抑制させる」というのは最悪のアプローチで、企業がその分基本給を減らして残業代に回すから、元を取ろうと従業員がさらに残業するようになるだけだ。
当然、吉原流もその点はしっかり押さえてある。全社員にしっかり説明した上で残業をゼロにし、浮いた金額をすべて固定給に入れるというスタイルだ。結果、全員がいかに無駄を省き、効率的に機械を動かすかに集中するようになり「毎日定時で帰る」と「利益率を高めて賃金アップ」を両立させているわけだ
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