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エリートの不合理な計画性:『経済学者たちの日米開戦』

経済ニュース

経済学者たちの日米開戦:秋丸機関「幻の報告書」の謎を解く (新潮選書)
牧野 邦昭
新潮社
★★★★☆

日本がなぜ無謀な日米戦争を始めたのかという問題については、山ほど本が書かれている。本書はそれについて従来と違う答を出しているわけではないが、新しい素材を提供している。陸軍の「秋丸機関」と呼ばれる研究機関で、有沢広巳などの経済学者が英米やドイツの戦力を調査し、1941年7月に出した報告書だ。
この報告書はすべて焼却されたといわれてきたが、著者はそれを発見して内容を分析している。その結論は、それほど驚くべきものではない:英米の経済戦力は日本の20倍なので、長期戦になったら日本は勝てない。しかしアメリカがその経済力を発揮するには1年~1年半かかるので、イギリスだけなら屈服させることができるかもしれない。
これは当時の軍部でも常識であり、日米戦争に勝てると信じる幹部はほとんどいなかったが、何もしないと石油がなくなって「ジリ貧」に追い込まれると考えていた。この報告書が「短期決戦なら勝機がある」とも解釈できる表現だったため、陸軍はそのわずかな確率に賭けた、というのが本書の見立てだ。
これは合理的決定とはいえないが、人間は合理的に意思決定するとは限らない。本書はこれを行動経済学のプロスペクト理論で説明する。
 A. 確率1で3000円払わなければならない
 B. 確率0.8で4000

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