政府のエネルギー基本計画はこの夏にも決まるが、その骨子案が出た。基本的には現在の基本計画を踏襲しているが、その中身はエネルギー情勢懇談会の提言にそったものだ。ここでは脱炭素社会が目標として打ち出され、再生可能エネルギーが主力電源と位置づけられている。
だが全国で環境問題が多発していることで明らかなように、再エネの立地に適した場所はすでに設置が終わり、今後は投資が逓減してゆくだろう。パリ協定で約束した「2030年にCO2排出量の26%削減」という目標は、原発が動かない限り不可能だ。
長期で考えた場合、再エネがエネルギーとして自立するには蓄電技術の飛躍的な進歩が必要で、経産省の提言によれば今の1/28になる必要がある。つまり今は電力会社の建設した既存のインフラにただ乗りしているので、再エネは安く見えているだけだ。
特にベースロードを火力に依存したままでは、「脱炭素社会」は望めない。パリ協定の目標を実現するには、原発を20%は動かす必要があるが、先月の記事でも書いたように、今のままでは2030年に稼働する原発の比率は10%がやっとだから、残る10%(10~15基)は40年ルールを延長するか更新するしかない。
しかし全国に、原発を新設しようという電力会社はない。直接コストを考えると、石炭火力がはるかに安く、政治的リスクもないからだ。つまり電力自由化の原則に従うと、原子力はこれから自然減の
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