人生もオススメ待ちの学生達 — 高部 大問
オススメが溢れる時代。人々は行きつけの飲食店で店員にオススメ料理を聞き、使い慣れたネットショップでオススメ商品のレコメンドを受け取る。
私は大学で就職課の事務職員として日々大学生の進路相談に乗っているが、最近、学生達の奇妙なリクエストが気にかかっている。多くの学生が、初めての面談時に「オススメの企業ってありますか?」と「ガチで」尋ねてくるのだ。大学職員は横の繋がりが強い職業であり、聞けば他大学でもこの事態はイレギュラーでないようである。違和感の正体は何だろう。
オススメを聞くこと自体は異常なことではない。信頼する知人や友人からの提案は有力な口コミであり、例えばかつての仲人による結婚相手の紹介もそのひとつだろう。しかし、それは当人をよく知ったうえでのオススメである。初めての飲食店でオススメされる料理は一般的な人気メニューだし、閲覧履歴など足あとのないECサイトではレコメンドのしようがない。
自分を詳しく知らない初対面の相手に人生の運転席を軽々と譲る学生達。一度きりの消費行為なら失うものはカネだけかも知れないが、進路決定は中長期的な投資行為。端から他人の推薦を当てにする他力本願な態度は危険極まりない行為である。たとえ相手がどれほどプロであったとしても、専門的な資格を持つ大人であっても、人生の運転席から降りてはならない。ハンドルを握るのは、いつだって君たちだ、と言いたい。
しかし、学生
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