中央が米田浩基医師。クリニックHPより。
世界に先駆けて超高齢化社会が現実のものになっている日本。誰もが人生を「自分らしく生きたい」と願っている。ところが現実は簡単ではない。厚生労働省の調査によると、6割以上の人が自宅での療養を希望しているが自宅で最期を迎えられる人は1割程度にとどまっている。我が家で最期を迎えたいのが多くの人の願いではないだろうか。
一政府は高齢化社会の進展に伴って増え続ける医療費の削減を目指し、病床数を一気に減らす施策をとっている。その際に必要なのが自宅での療養。在宅医療は国民と政府、双方のニーズを満たすものとして注目を集めている。今回、紹介するのは『在宅医の告白 「多死社会」のリアル』(幻冬舎)、「幸せな最期」を迎えるヒントが詰まった一冊である。
著者は、米田浩基医師。医療法人社団千優会藤沢在宅クリニック院長、日本脳神経外科学会と日本頭痛学会の専門医でもある。さらに、介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格を取得し、多くの患者に対して24時間365日体制で向き合っている。
在宅治療のリアルから見えるもの
ここで、ケースを紹介したい。「先生、大変です!父が、父が!」。電話から娘さんの焦った声が飛び込んできた。ディサービス中にお父さんが喉に食べ物を詰まらせ、窒息してしまったのである。駆けつけた救急隊員は重症と判断し、救命救急センターに搬送した。また、教命センターの
コメント