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安くて旨い「フレンチ」のお話

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広告会社にいる大きな喜びのひとつは、いろいろなクライアントの方々とやりとりできることです。ご縁があって担当する企業それぞれが持つ文化風土やノウハウ、悩みや成功体験を直接伺うことができるので、大きな刺激になります。

もうずいぶん昔ですが、ファミリーレストランを運営する、とある会社を担当していた時に出会ったのが当時営業企画部のマネージャーだったSさん。広告キャンペーンだけでなく、新メニューや新業態について、とにかくたくさん議論をしました。

そのとき伺ったのが「かつて庶民の憧れだったハンバーグやステーキとか、ナイフやフォークで食べる洋食を手軽に味わえるようにしたのがファミリーレストランの始まり。同じ考え方で高級飯店の中華を手軽に、イタリアンを手軽に、和食を手軽に、お寿司を手軽に、焼き肉を手軽に。そうやっていろいろな業態が増えてきました。さて、日本人が手軽に味わいたいカテゴリーはもう残っていないのでしょうか? いやいや、まだ『フレンチを手軽に』っていう大物がいますよ。山田くん、面白いと思わない?」という話。



なにせ20年近く前のことなので記憶も曖昧ですが、ぼくの感想は「ふ~ん」程度だったはずです。当時は一流ホテルのメインダイニングが次々とフランス料理からイタリア料理に衣替えしていて、「安くて旨いフレンチ」と言われてもピンとこなかったのでしょう。そしてそ

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