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経済ニュース

依頼者の話を訊いて訴状を作成し、いざ訴訟となった時、相手から提出された答弁書や準備書面を見て驚愕することがある。多くの場合は、調停段階で付いていなかった依頼者の離婚事件だ。
離婚事件というのは、一つの事実を当事者たちが正反対の方向から見ているものなので、慣れるにしたがって「またか…」と思って焦ることもなくなった。
例を挙げると、妻が「妊娠して苦しい時期に夫が自分勝手にあちこち連れ回した」と主張すれば、夫は「妊娠した妻の気分転換のために、仕事を休んでまで連れて行ったのに」という具合だ。
「私は行きたくなかった」「とんでもない、連れていけと言ったのはお前の方だ」という会話があったか否かは遠い昔の水掛け論。
離婚訴訟に限らず、見立てというか筋道を見誤ることが時としてある。
とりわけ弁護士になりたての頃は依頼人の言うことを全面的に信用してしまうので、依頼人の言い分に沿った証拠ばかりを集めてしまう。
まさに「人間は見たいものしか目に入らず、見たくないものは目に入らない」という現象だ。訴訟になって相手から驚くような証拠が飛び出してきて、対処に困ることもしばしばあった。
依頼者が敢えて真実を隠していた事件などは、いかに弱気を悟られずに和解に持っていこかと、「トホホ」な気分になる。
裁判官は、双方の主張と提出された証拠をつなぎ合わせて結論を出せばいいが、片方の証拠しか持たない代理人弁護士は、常に

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