「ずっと同じ会社で安定した人生」の深刻な副作用
私たちは幼い頃から、なんとなくいろいろな場所で、ずっと同じ会社で安定した人生を送るのがいいことだと教えられてきました。たとえば、私が通った慶応大学の前学長で、いまも内閣府のシンクタンク(経済社会総合研究所)の名誉所長である清家篤先生は、約5年前のNHKの番組で次のように話しています。
働くということを考えたときに、原則というか基本的には同じ会社でずっと働いたほうがいいんですよ。生活の安定からいっても、企業にとっても、長く働いてもらったほうが忠誠心が獲得できるし、それから教育訓練をして、すぐに辞められたら、会社が丸損でしょ? だから、せっかくお金をかけて訓練した人は、長く勤めてもらうということがいいことなんですね。
でも、金融のビジネスマンから大学の先生になったナシーム・ニコラス・タレブ(『反脆弱性(上・下)』)のように、えらい人たちが市民のためにと推し進める安定した人生には、目に見えにくい副作用があると考える人もいます。
まず、「誰にだって生活の糧は必要だ」という気持ちで働きつづけている場合、慢性的なストレス障害が生じることが挙げられるでしょう。
…イヤな上司、住宅ローン…試験のプレッシャー、面倒な雑事、溜まったメール、記入しなければならない書類の山、日々の通勤など、程度は軽くても継続的なストレスのほうが、間違いなく健
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