いよいよ秋季学期も最終週を迎えた。期末課題の締め切りが迫り、慌てた学生の課題作文がどっと届いている。テーマは、「人工知能(AI)に何を望むのか?」「何を望まないのか?」である。
何とも人間臭さを感じるのが、自分の人生を記憶してもらうことに強い願望を持っていることだ。たとえば、こんなふうに。
「もしAIが、私が出会ったは縁を記録してくれればいいと思う。人は人生の中で多くの人に出会い、そして、多くの人を忘れてしまう。運が悪ければ、いやな人にもたくさん出会う。AIが一つ一つの出会いを、文字や写真、動画で記録していてくれたら、いつか見返して、いろいろな思いにひたることができる。人生のやり直しはできないけれど、往時を懐かしむことや、数多くの失敗から学ぶこともできる。もしかすると、心に凝り固まっていた偏見や誤解を消し去ることができるかも知れない。きっと人のステレオタイプを修正する効果を期待できるに違いない。人は弱い存在だから、無意識のうちに周囲の環境の影響を受け、知らぬ間に自分独自の固定した観念を抱く。だからこそ、第三者の目でずっと見ていてくれる存在が必要になるのだ」
ある小説を読んだ感想から説き始める女子学生もいる。
一人の浮気男が不運から罪を犯し、投獄される。牢獄の中でこれまでの人生を振り返るうち、そばにいてずっと尽くしてくれた妻の姿が目に浮かぶ。自分の不行跡を恥じ、反省し、改めて妻に許し
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