先日、「米大統領が横田基地を使ったと言って怒る昭和の人々」という題名のブログ記事を書いた後、読者から、「付記」の部分に関する問い合わせをいただいた。私が、『知ってはいけない:隠された日本支配の構造』(2017年)の著者である矢部宏治氏のことを「非常に高く評価」していると書きながら、「話の骨子は、普通に安全保障問題に関心を持っていれば、誰でも知っている事」、と書いたことについてであった。
知ってはいけない 隠された日本支配の構造 (講談社現代新書) [新書]
矢部 宏治
講談社
2017-08-17
矢部氏の真摯な調査努力には敬意を持っている。ただ、誇張と扇動があまりに多い*。矢部氏の著書のメッセージは、アメリカが日本を支配していて日本は属国なので、主権回復のために立ち上がろう、という反米ナショナリズムのアジテーションである。私はこの大雑把なメッセージそのものには同調しない。地位協定の改善などの具体的な論点の検証だけであれば、私は本当に賛同したいのだが。
「知ってはいけない」衝撃的な事実とは、憲法典と憲法学の間には、大きな乖離がある、ということだ。この点について、矢部氏を引用しよう。
「『日本国憲法の草案は、占領下で占領軍によって書かれたものである』まずこの明白な事実を、いかなるあいまいな言い訳もなく、真正面から受け入れる必要があります。たしかに厳しい現実です。大きな
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