ハーバードのデザイン教育
後輩の各務太郎くんは電通を卒業し、アメリカの大学院で建築を学び直すと言います。そして将来はいわゆる設計事務所ではなく、デザイン思考のコンサルティングファームで活躍したいということです。
こんなことを書いたのは連載32回目、2014年5月29日のこと。年を取ったせいか3年前が昨日のようですが、この各務さんが今年ハーバード大学デザイン大学院を修了しました。そこでモノゴトをより上位のレイヤーで考える「メタ思考」を志しつつも、お酒の飲み過ぎで会話が支離滅裂になる「メタメタ会」のメンバーが久々に集結。お祝いの宴は始まったのでした。
山田:ハーバードの建築って「デザイン大学院」なんだね。ここで教わる「デザイン」って、何か特徴があるの?
各務:日本にはデザインという言葉が2回輸入されたと言われています。ひとつは明治時代に「設計」という意味で、もうひとつは戦後「スタイリング」という意味で入ってきました。
今、日本でデザインと聞いて頭に思い浮かべるものは、一般的には後者の方、すなわち「見てくれ」の領域だと思います。ハーバードにおけるデザインは、実は前者の方だったんです。だから「情報を伝えるため」のグラフィカルなデザインは一切教えられず、建築、都市計画、ランドスケープの3領域を主軸に置いた社会システムの「設計」にフォーカスしていました。
山田:
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