8月21日号の「New England Journal of Medicine」誌に「Medical Education in the Era of Alternative Facts」という論文が掲載されていた。気に入らないニュースを「フェイクニュース」と批判し、捻じ曲げた妄想を「Alternative Fact」として主張する時代が、決して政治の場だけでなく、医療の現場にも混乱を引き起こす可能性を憂慮したものだ。
医学の世界では、Alternative Factsはない。薬剤に効く人、効かない人がいても、それはAlternative Factsではなく、そこには有効性を規定している何らかの要因があるはずだ。科学的な評価を進めていけば、はっきりした原因が導かれるはずだ(決して簡単ではないが)。数年前に話題になったが、STAP細胞が存在するかどうか、科学的な事実はひとつしか存在しえない。しかし、今は、ソーシャルメディアなどを通して、事実とは異なる「フェイク」が一気に世の中に拡散するし、「無」から「有」の虚構が多くの人に共有される。情報操作に長けた医師がいれば、黒を白に見せかけて患者さんを騙すことも可能になる。
人間の心理として、耳に痛い事の受け入れを拒絶し、記憶から消し去り、自分の望んでいることを選択的に受け入れ、記憶にとどめようとする傾向がある。もちろん、逆に、医師から受けた再発
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