シュミットと丸山眞男(『丸山眞男への道案内』より:編集部)
拙著『ほんとうの憲法』に寄せていただいたコメントの中に、私のシュミット『大地のノモス』に関するものが結構あった。私が1930年代の時代の描写の中でシュミットの『大地のノモス』への言及をしたところ(87頁)、『大地のノモス』は1950年に出版された、という指摘をよく受けたのである。やはりシュミットは良く知られている。
拙著をしっかり読んだ上で細かいところまで目配りしてくださる方々には、この場を借りて深く感謝いたします。
確かに、『大地のノモス』は第二次世界大戦後の1950年に出版された書物である。ただし、現在のシュミット研究では、『大地のノモス』の原稿がすでに1930年代のうちに書かれていたことが確認されている(たとえば、大竹 弘二『正戦と内戦 カール・シュミットの国際秩序思想』を参照していただきたい)。『大地のノモス』は、1930年代の時代の雰囲気の産物だ。
シュミットは、ナチスとの親密な関係が有名だが、1936年頃にはナチスとの関係を悪化させていた。その当時執筆した『大地のノモス』で、シュミットは、陸上国家と海上国家の構造的対立を描くマッキンダー地政学からの影響を色濃く見せながら、ヨーロッパ公法の没落を描き出し、モンロー・ドクトリンに触発された広域秩序論の考え方を打ち出していた。
シュミットは、『大地のノモス』の緒言で次
コメント