日本は核武装できるのか:『日米同盟のリアリズム』
日米同盟のリアリズム (文春新書)
小川 和久
文藝春秋
★★★★☆
朝鮮半島の危機は日常化して感覚が麻痺しているが、日米韓の「第2次朝鮮戦争」のシミュレーションは何度も行なわれている。1994年に北朝鮮が核武装の意思を表明したとき、クリントン米大統領が爆撃する一歩手前まで行ったという。そのとき韓国の金泳三大統領は「ソウルを火の海にする」という北の脅しに屈して爆撃を止めたが、そのとき爆撃しておけば今の危機はなかったかもしれない。
本書の推定では、北朝鮮はすでに核弾頭を搭載した準中距離弾道ミサイル(射程距離1000~3000km)を保有している確率が高く、その射程には日本も入っている。これを迎撃して撃ち落とすことは技術的に不可能で、自衛隊は反撃できない(憲法で禁じられている)ので単独で日本は防衛できない。
韓国に駐在する「国連軍」の攻撃は多国間の合意が必要で、即応能力に疑問があるので、日本の頼りは在日米軍しかない。したがって自衛隊と在日米軍は不可分である。沖縄から米軍を撤退させて代わりに自衛隊が守るということは、少なくとも今の憲法では不可能だ。
では憲法を改正したら、米軍を撤去して「自主防衛」は可能だろうか。このためには、中国も北朝鮮も核兵器をもっている以上、日本も核武装するしかない。日本には原爆5000発分のプルトニウムがあり、原子力技術もあるので、3年もあれば弾道ミサイ
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