冷戦時代の主人公がまた一人亡くなった。16日午後、独週刊誌シュピーゲル(電子版)が速報を配信した。ヘルムート・コール元独首相だ。87歳だった。政界から引退して以来、健康問題もあって公の場に姿を見せることはほとんどなかった。時たま再婚した夫人の助けを借りながら車椅子に座るコール氏の姿が小さく報じられるだけだった。コール氏の愛弟子、アンゲラ・メルケル首相がドイツ政権で活躍しているにもかかわらず、コール氏の名前がメディアに取り上げられることは東西両ドイツ統一の記念日(10月3日)だけになっていた。
ヘルムート・コール氏(ドイツ連邦政府の公式サイトから)
独メディアによると、コール氏とメルケル首相の関係は決して師匠と愛弟子といった関係ではなく、両者の間には少々気まずい雰囲気があったという。メルケル氏の活躍は本来、師匠コール氏の喜びともなるはずだが、生身の人間コール氏には決してそのようには感じられなかったのかもしれない。明確な点は、欧州連合(EU)の盟主ドイツの中心人物であり、「世界で最も影響力のある女性」にも選出されたメルケル首相の存在はコール氏なくしては考えられなかったことだ。旧東独出身の牧師の娘、メルケル氏を抜擢したのはコール氏だったからだ。
コール氏のハンネローレ夫人は光アレルギーという特殊な病にかかり、最後は自ら死を選んだ、と聞いている。41年間連れ添ってきた夫人が亡くなると、コー
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「政治家コール」と「人間コール」の顔
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