林敏彦大阪大学名誉教授が亡くなりました。4月28日。享年74歳。ぼくがスタンフォード日本センターの研究所長を務めていたころ、理事長として4年間お仕えした上司です。神戸での通夜には「弟子」と記帳しました。棺の先生は、いつものように、穏やかなお顔でした。
ノーベル経済学賞を受賞したケネス・アローに師事してスタンフォード大学で博士号を取得した理論経済学者でありつつ、通信の競争政策などアカデミズムの公共政策への実践に熱心でした。「現代政策分析」は平易にして要諦を押さえた名著です。ぼくが官僚の頃には既に重鎮としての風格がありました。
2002年のこと。故・青木昌彦さんが中心となって設立したスタンフォード大学の日本拠点、スタンフォード日本センターが今井賢一理事長・安延申研究所長のコンビから、林・中村コンビへ、通産省系から郵政省系へ交代することとなりました。
今井・林両大先生との下鴨での初面談には、経済学徒落第の身として緊張して赴きましたが、林先生は芋焼酎のロックにキュウリをたくさん切って入れさせ、「こないしたら体にええねん」とガバガバ飲む。緻密さがみられません。その瞬間から、仰ぎ見る飲み仲間となりました。
常に笑みでした。優しく、包み込むように、大きな判断をズバッとなさり、豪快な差配をなさいました。そのたびに「先生、軍人でも出世しましたね。」とぼくはコメントしていました。
あれほど美しい英語を
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