中国の主な大学にはみな、メディア人を要請するジャーナリズム学部があるが、学生の8割以上は女性だ。今回の参加者6人も、面接を経た結果、全員が女子だった。思いリュックを背負い、カメラを担ぎながら走り回る彼女たちは、男女の区別を感じさせない。度胸もあるし、好奇心も旺盛である。昼はコンビニのおにぎりやパンをかじりながら、平気な顔をして仕事をしている。
6人はうち一人を除き、初来日、かつ海外も初めてというメンバーだった。私は教師の立場以外、通訳兼ツアーコンダクターの仕事も引き受けなければならなかったが、彼女たちと同行しながら、中国の若者の視点から日本社会をみる貴重な経験ができた。
取材テーマの環境保護に限らず、彼女たちにとっては目に映るものすべてが新鮮だった。
まず、地下鉄に乗った際、駅員窓口の通路には自動改札機がなく、自由に行き来できるようになっているのを、ある学生が見つけた。日本ではごく当たり前の風景だが、中国はすべて自動改札機だ。学生の驚きはこうだ。
「なんて人を信用する社会なんだろう」
機械で規制しなければ、駅員が見ていないスキに切符なしで乗る人が出てくると考える。貧富の格差が大きく、順法精神が十分に行き渡らず、強制的な手段で防がなければ手立てがない社会と、ある程度の民度が確保され、一定の信頼によって成り立つ社会との違いだ。
同じことはバスの中でも起きた。乗車の際に整理券を抜き
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