写真ACより(編集部)
かつて、私は地方労働委員会(現在は「都道府県労働委員会」と名称が変わっています)の公益委員をやっておりました。
当時の地方労働委員会では、労働組合と使用者側の紛争を斡旋したり救済命令を出したりする機関でした。
労働者委員と使用者委員、そして中立な公益委員の3人で担当し、公益委員が進行の指揮を執ります。
私は事件を落とすのが早かったので、年間10件以上の新規案件を処理していたのですが、多くは金銭的補償と引き換えに解雇を認めるという結果でした。
当事者のほとんどは中小企業の従業員で、地域の合同労組に加入して解雇した会社を相手取ります。
中小企業ですから、従業員数は少なくて企業内組合もありません。組合がないことから、強い立場の経営者が不当解雇するケースが多く、解雇された従業員が合同労組に駆け込むのです。
会社側は懲戒解雇だと主張することが多いのですが、調べてみるとほとんどが不当解雇でした。
解雇された従業員としては復職する権利があるのですが、小さな所帯の職場には戻りづらいのでしょう。最後は金銭補償で解決がつきます。金額的には、せいぜい給与の3ヶ月から6ヶ月分くらいです。
給与のたった3ヶ月分で辞める必要はないじゃないか?と疑問を感じるのは身分保障がしっかりしている大企業勤務の人たちでしょう。合同労組に駆け込んで労働委員会に申し立て、ようやくそれだけのお金を手にする
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