日経が今朝「トランプ氏、大統領令で温暖化対策撤回」と報じているように、トランプ大統領は選挙戦中に打ち出した公約をまた一つ、中途半端に実現しようとしている。
以下に紹介するFT記事にあるように、トランプ大統領は選挙戦中に「地球温暖化なる脅威は、米国製造業の競争力をなくさせるために中国が作り上げた科学だから、米国はパリ協定を破棄 (cancel)する」と約束していた。その公約実行の一環として昨日、オバマ時代の環境対策関連の法令をすべて見直すよう指令を出したのだ。だが「パリ協定」については一切触れていない。本件は、政権内部でいまだに「協議中」だと伝えられている。
今回の大統領令もまた、選挙民にウケのいい「雇用拡大」を前面に打ち出している。だが、エネルギー政策という観点からはまったく整合性がない。「石炭」の消費を減退させ、石炭産業を衰退に追い込んでいるのは、シェール革命によって安価に、大量に供給されることになった「天然ガス」だからだ。
今回の大統領令が現実に実行され、工場や火力発電所、あるいは石炭や石油・ガスの生産現場からのメタンやCO2などの排出ガス規制が緩められたら、石炭のみならず石油、ガスの生産業者等のコスト削減につながる。つまり、石炭のライバルである天然ガスの生産コストも下がることになり、現在のガスの方が石炭よりコスト的に優位だという構図は不変だ。したがって、石炭産業が復興して、石
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