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世界最古の共和国:『日本の近代とは何であったか』

経済ニュース

日本の近代とは何であったか――問題史的考察 (岩波新書)
三谷 太一郎
岩波書店
★★★★☆
明治国家を「絶対主義の天皇制国家」とみるのは誤りだ。天皇がダミーで実権が長州閥にあることは、政治家や官僚に共通の理解だった。帝国議会は法案や予算に「協賛」するだけだったが、政党はそれを否決する権限をもっていたので、それほど無力な存在ではなかった。むしろ明治憲法を起草した井上毅は、政党が政府を超える幕府的存在になることを恐れ、内閣を憲法から削除した。
井上の権力分立の思想は、穂積八束や上杉慎吉など東大法学部の主流に継承された、と著者は評価する。穂積はイギリスの議院内閣制を「立法権と行政権をあわせ持つ専制政体」だと批判し、合衆国憲法の権力分立を明治憲法の理想とした。彼らは立憲君主制に反対したのではなく、議会が政府を支配する権力の集中を批判したのだ。「統帥権の独立」も「司法権の独立」と同じく軍部を政党から独立させる制度だった。
しかしこの制度設計には弱点があった。名目的には天皇が無限の権力をもちながら、実質的には「元老」を中心とする藩閥政府が権力を独占する構造は、元老がいなくなると無政府状態に陥る。吉野作造は1916年に、バラバラになったドイツ帝国を「ドイツは共和国なり」と評したが、昭和の日本も共和国になった。共和国は戦争のような非常事態を指導する「主権者」がいないため、ナポレオンやヒト

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