【映画評】アシュラ
Asura : The City Of Madness O.S.T [CD]
アンナム市の市長パク・ソンべは、立場を利用して、利権と成功のために悪の限りを尽くす悪徳市長。汚職刑事のハン・ドギョンは、そんな市長の悪事のもみ消し役を担っている。一方、市長逮捕に執念を燃やす検事のキム・チャインは、弱みを握ったドギョンを利用して市長の悪事を暴こうと画策。検事と市長の双方から追い詰められたドギョンは、窮地に陥っていく…。
登場人物全員が悪人という韓国発のノワール・バイオレンス「アシュラ」。舞台は韓国の架空の都市。主な登場人事物は、私利私欲に溺れる悪徳市長、正義を捨てた汚職刑事、市長逮捕のためならどんな悪事も厭わない検事の3人だが、脇役すらも全員悪人で、誰もが善悪の見境を失くしている。刑事のハン・ドギョンが市長の後始末と汚職に染まるのは、余命僅かな妻の治療費のためという理由があるが、ズルズルと悪事を続ける彼のモラルはすでに麻痺してしまっているのだろう。この地獄絵図のような物語の中では、妻のためなどという、もっともらしい言い訳も、ささやかな善も、あっという間に泥沼に飲み込まれていくのだ。ひとつの悪事が次なる悪事を生むこの物語、まさに悪の底なし沼で、一度足を踏み入れると抜けだすことは不可能なのである。笑う、泣く、怒る、愛するなど、すべてが過剰なのが韓国映画の大きな特徴だが、本作の暴力描写はとりわ
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