コンピュータの基本的なコンポーネントは、おなじみのニュートン物理学の世界の境界を乗り越えるほどに小さくなってきている。そして1平方インチに1兆ビットを超える情報を収めるようなハードドライブ以上に、その密度と精密さを表すことのできる場所はないだろう。しかしこの度IBMが、単一の原子にデータを読み書きすることによって、その壁を乗り越えた。
この進歩は、現段階では実用的というよりも象徴的意味合いが大きい。しかし現在の最先端技術によるものよりも遥かに小さな、実際に動作する原子データストレージの例は、もはやサイエンス・フィクションの世界だ。
原子は、いまさら聞いて驚くことはないと思うが、私たちが確実に操作することができて、安定して存在することを期待できる、物質を構成する最小の単位だ。光子との絡み合いに関する興味深い実験もあるが、それは安定せず扱い難い。目を離した隙に光の速度で飛び去ってしまわないものに期待したほうが良いだろう。なお 以前発表された原子ストレージ技術は、原子の中にデータを格納していた訳ではなく、読み取り可能な形に原子を配置する技術だった(もちろん今でも凄い技術であることには変わりない)。
このことは個別の原子を、0または1として扱うことが次の主要な段階であることを意味する。これによって、遥かに大きな容量増加が達成され、技術者と物理学者への新たな挑戦課題が提示されることになる。本
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