佐藤優さんという人がいる。佐藤さんは、僕がもっとも恐れ、尊敬する論客の一人だ。とにかく知識の量がすごい。それも単なる博識ではない。外交官として現場で身につけた知識、それも舞台の表と裏の両方の知識と、膨大な読書と研究で得た知識が結びついている。だから、この人の言葉には説得力があるのだ。
先日、その佐藤さんと長時間の対談をした。そこで僕は「佐藤優」流の物事の見極め方を徹底的に聞いた。混乱をきわめ、予測不能なこの世界を、佐藤さんはどうやって読んでいるのか。僕たちは何をすればいいのか、何を身につければいいのか、と。
いま、世界情勢は非常に見通しづらくなっている。例えば、イギリスのEU離脱、アメリカのトランプ大統領誕生はたいへんな衝撃だった。この2つの出来事について、僕は事前に知り合いの政治家や学者、ジャーナリストたちに聞いた。みな、「あり得ない」と答えた。ところが、「あり得ない」ことが現実になってしまったのだ。
かたや、中国やロシア、北朝鮮はどうか。これら近隣諸国がこの先どうなるのか、まったく予測することができない。その理由は、不確定な「変数」が無数にあるためだろうと僕は思っている。無数の「変数」を含んだ「世界方程式」を誰も解くことができない、それが、いまの時代なのだ。
このような時代だからこそ、「本質を見抜く力」が必要だ、と佐藤さんは答えた。具体的には、新しい「教養」だそうだ。例えば、こ
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