【編集部注】執筆者のChristoffer O. Hernæsは、チャレンジャーバンクかつノルウェイ初のオンライン専門銀行であるSkandiabankenのチーフデジタルオフィサー。
銀行取引や社会の電子化に関する話の中でも、キャッシュレス社会というアイディアは熱い議論を呼びがちだ。まず現金は、汚職や税金逃れ、マネーロンダリングといった違法行為と結びつけられることが多い。しかし、現金の匿名性が地下経済を支えている一方で、その匿名性が低下してしまうと、ジョージ・オーウェルの著書「1984年」のような監視管理社会が誕生し、個人の自由が制限されてしまうのでは、と懸念している人も多くいる。
キャッシュレス社会に向けた動きの最前線にいるスウェーデンでは、国家が電子決済に関する施策を推し進めるにつれて、国民の間には現金の利用頻度が減っていくことに対するネガティブな感情が広まっている。オーストリアやドイツといった国では、今でも現金が主要な決済手段として使われているものの、世界全体で見ると現金を使う機会は減ってきている。
消費者がモノやサービスを購入する際の決済手段として、現金が全体の3分の1を占めるアメリカでさえ、現金の使用頻度は減少傾向にある。しかし同時に、現金の発行額は増えてきている。40年前は約800億ドルだった現金の流通額が、今日ではおよそ20倍の約1兆5000億ドルにまで増えているのだ
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スウェーデンの現金使用率は2%―、キャッシュレス社会への賛否
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