「担保」を巡るあれこれとは?(写真ACより:編集部)
民法学の大家である我妻榮先生の著書の「担保物権」の「質権」の解説で、昔の質屋は大学卒業生の卒業証書を質種として取ったという話が出てきます。
質屋にとっては卒業証書は何の価値もありませんが、当時の大学生は就職先が決まると就職先に卒業証書を提示する必要があるので、貸したお金をきちんと返しに来るからだそうです。
ところで、ヨーロッパ中世の国王たちは、お互いに人質を交換し合うことで平和を保障しようとしたそうです。戦争になればお互いの人質が返ってこなくなりますから。
ある国王が、隣国への人質として王子の代わりに高価なダイヤを差し出そうと考えました。それを知った賢明な家臣は「ダイヤを差し出してはなりません。王子を人質として差し出すべきです」と国王を諭したそうです。
なぜかというと、ダイヤは隣国の国王にとっても価値の高いものであり、隣国の国王としては預かったダイヤをわが物にしようとして戦争を仕掛けてくる恐れがあるからです。その点、王子は隣国の国王にとってほとんど価値がないので、わが物にしようとするインセンティブが生じません。
かように、一般的に「よい人質」というのは、人質を出した方にとって価値が大きく、取った方にはほとんど価値がないものなのです。価値評価における非対称性が人質を優れたものにするのです。
最初の例だと、卒業生にとって卒業証書は価
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銀行等が担保をとる真の理由は ?
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