GEPRフェロー 諸葛宗男
停止施設の維持費は只ではない
普通の人は、施設を動かすのにはお金がかかるが、施設を停めておくのにお金がかかるとは思っていない。ところが、2015年4月にMETIの「総合資源エネルギー調査会発電コスト検証ワーキンググループ(第6回会合)[1]」に資料1として発電コストワーキンググループから出された「長期エネルギー需給見通し小委員会に対する発電コスト等の検証に関する報告(案)」を見ると、興味深いことが書いてある。LNG火力発電を停止させている時に必要なコスト、すなわち固定費が1.6円/kWhなのに対して、原子力発電を停止させている時に必要なコスト、固定費は7円/kWhなのである。LNG火力発電の4.4倍もあるのである。
[1] 「長期エネルギー需給見通し小委員会に対する発電コスト等の検証に関する報告(案)」,総合資源エネルギー調査会発電コスト検証ワーキンググループ(第6回会合)資料1, 発電コストワーキンググループ,2015.4
電力会社別の停止中原子力発電所の維持費
この資料を使って各電力会社の固定費負担額を見てみよう。すなわち、各電力会社が原子力発電所を停止させるのに、どれほどの金額を負担しているのかを調べて見る。もちろん、図1の数字はMETIの委員会が弾いた平均的な原子力発電所の数値なので、各電力会社の実際の費用ではない。しかし、国の委員会で弾いた数値
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