独連邦議会の野党「左翼党」幹部のグレゴール・ギジ氏(Gregor Gysi)は先日、独国営放送ZDFのマルクス・ランツ司会の娯楽番組に出演し、そこで「自分は神の存在を信じていないが、神なき社会を恐れている。キリスト教会が主張するような価値観で構築された世界が全く存在しない世界に恐怖を感じるのだ。資本主義も社会主義もその恐怖心を取り除くことができるものを有していないからだ」という趣旨の話をしている。
▲グレゴール・ギジ氏(同氏の公式サイトから)
ギジ氏(69)は1989年に東ドイツの支配政党であったドイツ社会主義統一党が改組して結成された民主社会党の初代議長に就任し、東西両ドイツの再統合後も左翼党をリードしてきた政治家だ。典型的な無神論者だが、その無神論者が神なき社会の台頭に一種の懸念を有しているというのだ。独メディアは「無神論者、宗教を守る」という見出しで同ニュースを報じているほどだ。
そういえば、“神なき社会”への懸念を表明する知識人が増えてきている。「素粒子」などの代表作が日本語にも翻訳されている仏人気作家ミシェル・ウエルベック(Michel Houellebecq)氏もその一人だ。彼はドイツ週刊紙「ツァイト」とのインタビューの中で、「宗教なき社会は生存力がない。自分は墓地に足を運ぶ度、われわれ社会の無神論主義にやりきれない思いが湧き、耐えられなくなる」と率直に述べ
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無神論者が憂慮する“神なき社会”
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