首相官邸サイトより(編集部)
トランプ米大統領は環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱したが、そのかわりに二国間の経済連携協定(FTA)の交渉を始める意向という。日本としては、なお、TPPの意義についてトランプに強調するしかない。それは、ほかの参加国に対する礼儀でもあるし、一般論としての多国間協定に否定的な雰囲気の蔓延を避けねばならない。
しかし、いまさらトランプ政権下のTPP推進に期待しても仕方ないのも現実だ。そして、そもそも、日本がTPPを推進したのは、日米FTAに乗り遅れ、アメリカ議会が新たなFTAに合意するのが難しいので、その代わりにというのも動機だった。
そして、TPPには中国を睨んで、日米を中心として経済秩序をつくって、中国はそれに参加するか否かを迫られるという方向にもっていけるというFTAにはない新たな効用があったわけだが、しばらくは、トランプが宗旨替えするのは難しいからいっても仕方ない。
それでは、なぜ、トランプが多国間の経済連携協定を嫌うかだが、理由はいくつかある。ひとつは、①「トランプ氏が複雑でガラス細工のような多国間の話し合いを自分の頭で理解できない」のだろうと思う。自分で分からないから嫌がっているのだと思う。
もうひとつは、②「統一ヨーロッパ(EU)という枠組みが、移民・難民に利益を与えすぎたことに対する嫌悪感」だと思う。これはある意味で正当だ。これは私もあ
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