トランプ氏当選後、新聞は号外を発行(毎日新聞サイトより引用:編集部)
大衆迎合主義は誤解を生む訳語
日本のメディアに「ポピュリズム」が登場しない日はまずないでしょう。ポピュリズムは歴史的にも、地域的にも大きな広がりを持ち、政策目的も多岐にわたり、民主主義との関係もプラス面、マイナス面があり多面的です。にもかかわらず、日本では、メディアがひとくちで「大衆迎合主義」と訳して報道することが多いので、気がかりです。メディア論として、ポピュリズムを取り上げると、どうなるのかを考えてみました。
「大衆迎合主義」という言葉には、いいイメージはありません。人気取り、軽率な衆愚政治、扇動政治など、負の語感を伴います。「大衆迎合」といったとたんに、ポピュリズムに否定的な評価を下すことになりかねません。メディアが好む訳語は、ポピュリズムの一断面を指しているにすぎず、誤解を与えます。
「ポピュリズムが政治現象として、本格的に登場したのは19世紀末の米国、二大政党の支配に挑んだ人民党で、別名ポピュリスト党という。人民党の党員はポピュリストと呼ばれた。人民に依拠してエリート支配を批判する運動がポピュリズムと呼ばれるようになった」(水島治郎著、中公新書)そうです。直訳すれば、人民主義、大衆主義ですか。訳としてしっくりいかないので、「大衆迎合主義」が多用されているのでしょう。
ポピュリズムと自ら名乗る政党はない
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ポピュリズム報道にみるメディアの誤用
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