あなたは今、映画を見ている。スポーツカーに乗った悪者が、高速道路を走って逃げようとしている。ヘリがそれを、上空から追っている。やがて車は、出口が複数あるトンネルに入り、ヘリは車の行方を追えなくなる。
VPNの仕組みは、この映画のトンネルに似ている。そのトンネルは複数の道をひとつの入り口へつないでいるが、トンネルの中で何がどうなっているのかは、ヘリには分からない。
読者のみなさんはこれまで、いろんな人からVPNを勧められたことがあるだろう。アクセスに地理的制限のあるコンテンツを見られるようになる、中国の万里のファイヤウォールを出し抜ける、インターネットを安全に閲覧できる、といった話を聞いたはずだ。でもVPNは、仕組みをよく理解せずに利用すると、それを使わない場合と同じぐらい危険なこともある。
そもそも、VPNって何だ?
自分の家に複数のコンピューターやスマートフォンやタブレットのある人は、ローカルエリアネットワーク(local area network, LAN)を使っているだろう。これらのすべてのデバイスが、自宅内の同じWi-Fiネットワークにつながって、お互いが直接、インターネットを介さずに写真やムービーを送信/受信できる〔そのためのソフト/アプリがあれば〕。ローカルエリアネットワークは、本質的にプライベートだ。サーバーソフトなどを動かしていないかぎり、外部からはアクセスできない
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