電通本社に労基署の強制捜査が入った。でたらめな労務管理を摘発すること自体は悪くないが、なぜ電通なのか。長時間労働だけを基準にするなら、もっとひどい会社はたくさんある。サービス残業は、霞ヶ関(厚労省を含む)のほうがはるかにひどい。
産経新聞によると、厚労省幹部は「この件はもうわれわれのところで判断できるレベルのものではなくなった」と、政権の意向をにおわせているという。
安倍政権は「働き方改革」と称して、同一労働・同一賃金などの政策を打ち出しているが、これは「デフレ脱却で成長率を上げる」というのと同じく、結果を変えて原因を変えようとするまやかしだ。賃金は労働需給の従属変数であり、賃金格差は「正社員」中心の雇用慣行を変えないと縮まらない。異常な長時間労働も、その結果である。いくら「ブラック企業」をスケープゴートにしても、雇用慣行が変わらないかぎり問題は解決しないのだ。
雇用慣行を変えることは容易ではないが、OECDなども提言しているように、労働基準法や労働契約法で解雇の基準を明確化し、金銭的な補償も可能にして雇用規制を緩和し、雇用を流動化するしかない。イタリアでもスペインでも、不況に陥った国は解雇規制を弱めるのが常識だ。
ところが安倍首相は、この問題に手をつけない。それは厚労省の方針だが、彼の祖父から今井尚哉秘書官まで受け継がれる国家社会主義の思想でもある。正社員が始まったのは産業報国会
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【追記あり】電通を安倍政権のスケープゴートにするな
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