反日と中華思想 – 過激化していく中国の反日
Leo Ching氏という米Duke大の准教授が2012年に発表した「‘JAPANESE DEVILS’: The conditions and limits of anti-Japanism in China」(「日本鬼子」:中華人民共和国における反日主義の諸条件と限界)という論文は、「中国」(この呼称自体が中華思想に基づく美称であり、中華思想に批判的な立場に立つなら梵語の音訳である「支那」を使うべきだが、便宜上以下では「中国」で統一する)における「反日主義」を、「日本鬼子(riben guizi)」という「反日言説」において頻出する言葉の語源等から「中華思想」と結びつけ、結局「中国」における反日主義は「日本」云々というよりは中国人の自己認識に関わる問題であると結論づけるものである。中国における「反日」も結局は中国人の自己認識の問題であるという結論は、先日紹介した韓国における反日イデオロギーの原因を分析する論考と極めて親和的であり、現代東アジアにおける「反日」の実態を明らかにする一助とあるものである。本稿ではChing氏の議論を踏まえた上で、「反日」に対する卑見を述べることにしたい。
「鬼子」は元々「西欧人」に対する蔑称であった
Ching氏によれば、そもそも「鬼子(guizi)」というのは特にアヘン戦争以降に中国において主に「西欧人」を指す言葉として流行したものであるが、
コメント